ピノノワールについて

「神がカベルネ・ソーヴィニヨンを創り

 悪魔がピノ・ノワールを創った」

ある醸造家にこんな言葉を口にさせた

多くの人を魅了するピノノワール。

 

カベルネ・ソーヴィニヨンと並び

高品質な赤ワインの原料となっている

ブドウの品種がピノ・ノワールです。

今回は「ピノ・ノワールの基礎知識を知りたい」

という人向けに、ブドウとしての特徴や栽培に適した

土地・気候、旧世界・新世界の産地をご紹介します。

 

●ピノ・ノワールの基礎知識

フランス・ブルゴーニュ地方を筆頭に

世界中でつくられている黒ブドウ品種です。

非発泡性では主に赤ワインに用いられることが多く

発泡性のシャンパーニュや

スパークリングワインにも用いられます。

小粒な果実のびっしり付いた小さめの房が

松かさ(松ぼっくり)の形に似ていることから

ピノ(pin=松)・ノワール(noir=黒)

という名称が付いたともいわれています。

 

青みを帯びた黒色や深い紫色をしており

いずれの色の場合も果皮が薄いです。

その薄さは、完熟しているときに雨が降ると

果皮が破れてしまうほど。

果肉そのものはジューシーで

フルーティーなため渋みが少なく

イチゴやチェリーの風味や

フランボワーズの華やかな香りなどが感じられます。

 

スパークリングワインなどを除き

その繊細な味わいを引き出すために

ピノ・ノワールのみで醸造されるのが基本です。

世界中のワイン愛好家が憧れるロマネ・コンティも

ピノ・ノワール100%でできています。

 

ピノ・ノワールの栽培は難しく

20世紀後半にカリフォルニアのワイン醸造家

アンドレ・チェリチェフは

「神がカベルネ・ソーヴィニヨンを創り

悪魔がピノ・ノワールを創った」

という言葉を残しました。

 

他の品種では出せない

ピノ・ノワールのおいしさに魅了された

世界中の醸造家たちは

各地で栽培を試みました。

 

しかし

栽培する気象や土壌には条件があり

病気になりやすいなど

デリケートな品種であるため

栽培技術がまだ発達していない頃は

「ブルゴーニュ以外でピノ・ノワールは造れない」

とされてきました。

 

現在では、フランスはもちろんイタリア

ドイツなどの旧世界にとどまらず

アメリカ(オレゴン州やカリフォルニア州など)

アルゼンチン、チリ、ニュージーランド

ブラジルなどの新世界でも栽培されています。

 

世界中のワイン愛好家はもちろん

ワイン醸造家からも

熱狂的な支持を得ているピノ・ノワール。

冷涼な気候や粘土・石灰質の土壌などが必要で

気難しい品種のため

簡単に栽培することができません。

 

その分、ワインとなった1本には

造り手の並々ならぬ努力が

詰まっているといえるでしょう。

 

また、単一品種でワインが造られることが多いため

土地ごとに異なる印象を楽しめるのも

ピノ・ノワールの魅力です。

 

ひとたびコルクの栓を抜けば

かぐわしさに満ちあふれた一杯を

堪能することができますよ♪