イスラエルのワイン事情

地中海に面する中東の国、イスラエル・・・。

実はCONOMINIのワインリストにも

イスラエルのワインが入っている事をご存知でしょうか?

お客様からも美味しいと好評価をいただいています♪

 

建国は1948年と新しい国ではありますが

ワイン造りの歴史はとても古く

ワイン産出国としては旧世界のグループに属します!

 

ご存知の通り、イスラエルは歴史的に

紆余曲折を経た地域であり

ワイン造りの歴史も文化もまた、非常に稀有です。

 

そこで今回は、そんなイスラエルの

ワイン事情について紹介したいと思います。

 

 イスラエルにおけるワイン造りの歴史はとても古く

紀元前2000年頃まで遡ります。

それは、ローマ人やギリシャ人が

ヨーロッパにブドウを持ち込むよりはるか昔です。

 

しかし、7世紀のイスラム教徒の侵攻から

第一次世界大戦におけるオスマン帝国の敗退までの

およそ1200年間はイスラム教国家の

支配下に置かれたため

宗教上扱われる儀式用ワイン以外の生産は

禁止されていました。

 

約300種あったとされる土着品種も

この時に全て引き抜かれたと言われています。

 

ワイン造りが復活したのは1882年で

当時シャトー・ラフィットのオーナーであった

エドモンド・ロスチャイルド男爵が

カーメル・ワイナリーを設立しました。

 

イスラエルにおける近代の

商業的なワイナリーの始まりとされていますが

ワイナリー設立当初の目的は

ユダヤ教徒向けのコーシャワインの生産でした。

建国後は数回にわたる中東戦争がありましたが

1970年頃にもなるとイスラエルは食生活も豊かになり

儀式のためのワインではなく

日常に楽しむワインの需要が高まります。

 

1983年には

ゴラン・ハイツ・ワイナリーが設立され

高品質なワインが造られるようになりました。

その後は続々と小規模なワイナリーが創設され

1990年当時は10軒しかなかったワイナリーも

2018年にはブティックワイナリーを中心に

300軒を超えるほどになりました。

 

そして、2007年にかの有名な

ワイン評論家ロバート・パーカー氏が

イスラエルの九つのワイナリーのワインに

90ポイント以上の点数をつけたことにより

イスラエルワインが世界的に注目されるようになったのです。

そもそもイスラエルってどんな場所?

皆さんはイスラエルと聞いて

どのような風景をイメージするでしょうか?

宗教的な聖地、あるいはラクダが歩く

砂漠でしょうか?

 

中東に位置するイスラエルは

西に地中海

東はヨルダン

北東はシリア

北はレバノン

そして南西はエジプトと接しています。

国土の面積は四国と同じくらいです。

 

気候はイスラエル北部から中央部は

地中海性気候で、山間部は標高が高いため

比較的冷涼で寒暖差があり

海に近くなるにつれて高温多湿となります。

 

南部は大半が砂漠地帯に属し

雨はほとんど降りません。

イスラエルのワイン産地の多くは北部の高地にあります。

 

イスラエルワインの特徴

イスラエルで造られるワインはその多くが

国際品種を原料としており

赤ワインは主にカベルネ・ソーヴィニョン、

カリニャン、メルロ、シラー

白ワインは主にソーヴィニヨン・ブラン、

シャルドネから造られています。

 

これまではカリフォルニアの

単一品種から造られるワインと

似たようなスタイルのワインが多く生産され

イスラエル国内でも人気を博していました。

 

しかし、ワインに産地の個性を表現する

近年の世界的な流れを受け

最近は地中海性気候の温暖な地域では

黒ブドウのカリニャンやムールヴェードル、

白ブドウのグルナッシュ・ブランやヴィオニエ

といった南仏品種からも

ワインが造られるようになりました。

 

また、土着品種への回帰も進み

白ブドウのマラウイから

ワインを造る生産者も出てきました。

マラウイは紀元前後に飲まれていた

ハムダニ種と同一視されており

イエス・キリストもこのワインを

飲んでいた可能性があると話題になった品種です。

 

コーシャワイン

イスラエルのワインを語る上で

忘れてならないのがコーシャです。

コーシャとはユダヤ教の食事規定のことで

宗教行事の様々な場面で使用されるワインは

ユダヤ教の正典にあたる旧約聖書でも

讃えられた飲料であることから

コーシャの中でもとりわけ厳格な規定が

設けられています。

 

まず、醸造中の果汁や

醸造設備を触れることができるのは

ラビと呼ばれるユダヤ教の指導者に限られています。

醸造で使う酵母、清澄剤、樽にも

規定があり、清澄剤は動物由来のゼラチンは使えません。

 

ブドウ畑でも聖書時代の

農業社会に回帰する決まりから

ブドウ樹を植えてから

最初の3年間のブドウは使用できません。

ブドウ畑は6 年収穫して 1年休ませ

畑の10%は収穫してはならず

ブドウの交配は禁じられています。

 

これら全ての規定をクリアしたワインだけが

コーシャワインとして認定されます。

 

コーシャワインは

全ての生産プロセスにおいて

正統派ラビによる厳正な監督のもと

敬虔なユダヤ人男性のみによって

造られるワインなのです。

 

実は砂漠でもワインが造られている

イスラエルのワイン産地は北部に多くありますが

実は国土の南半分を占めるネゲブ砂漠でも

ブドウが栽培されワインが造られています。

 

ブドウの栽培に適した条件とは

①降水量が少なく

②日照時期間が長くて

③昼夜の寒暖差が大きいこと

この三つが挙げられます。

 

砂漠はこの条件を満たしているとは言え

極度に乾燥しているため

一般的にはブドウ栽培には向きません。

 

しかし、イスラエルは優れた灌漑技術を持っており

砂漠地帯でも洗練されたワインを造っています。

砂漠における灌漑を利用してのブドウ栽培は

ワイン造りにおいても大きな問題である

気候変動に対応する策として

今後の参考になるかもしれません。